
「今年の忘年会、新人で何か出し物よろしくね」
10月から11月にかけて、こう言われて頭を抱えている方は少なくないと思います。人前に立つのは得意じゃない。同期は少ない、もしくはいない。仕事を覚えるだけで精一杯なのに、準備の時間なんてどこにあるのか。
このページでは、忘年会の出し物を任された側に向けて、何を選べばいいか、どう準備すればいいかを整理しました。最後に、マジシャンとして「マジックを1つだけ覚えて披露する」という方法にも触れています。
まず確認したい3つのこと
ネタを探す前に、次の3つを先輩や幹事に聞いておくと、選ぶべきものが一気に絞れます。
① 会場はどこか(宴会場か、お店の個室か)
ホテルや宴会場ならマイクやスクリーンがあり、少し離れた席からも見えます。居酒屋の個室なら、マイクもなく、テーブルを囲んだまま見てもらうことになります。大きく動く出し物や音を流す出し物は、会場によってはそもそも成立しません。
② 持ち時間は何分か
「適当に」と言われたら、5分程度と考えておくのが無難です。新人の出し物に15分割いてくれる会はあまりありませんし、長いほど準備も大変になります。短く終わって「もう少し見たかった」と言われるくらいがちょうどいいです。
③ 去年の新人は何をしたか
これがいちばん役に立ちます。その会社で「どのくらいの温度感が求められているか」が分かるからです。去年がしっかり作り込んだダンスだったのか、軽い自己紹介程度だったのか。前例より極端に上も下も狙わないのが安全です。
新人の出し物でよくある失敗
先に、避けたい形を知っておくと楽になります。
- 内輪ネタだけで作る … 同期の間では面白くても、他部署の方や役員には伝わりません。会場の半分がぽかんとすると、やっている側がいちばんつらくなります
- 上司のモノマネ・いじり … うまくいけば盛り上がりますが、外したときの気まずさが大きく、本人がどう受け取るかも読めません。新人のうちは避けておくのが無難です
- 準備に時間をかけすぎる … 毎晩遅くまで練習して本業に響くと、本末転倒です。出し物の評価より、日々の仕事のほうがずっと見られています
- 一発勝負のネタ … 「ここで笑いが起きなかったら終わり」という構成は、緊張している本番ではかなり危険です。途中で一度すべっても、立て直せる構成にしておきましょう
人数別・すべりにくい出し物
同期が数人いる場合
チーム対抗クイズの司会
新人が出題者になり、テーブルごとに答えてもらう形です。「この写真の部署は?」「社長の今年の目標は?」など、会社のネタと一般常識を半々にすると、誰でも参加できます。
- 良いところ … 主役が会場のほうに移るので、新人側の緊張が軽い。準備は問題作りだけ
- 気をつけたいこと … 正解発表のテンポが悪いとだれます。1問30秒くらいで回すつもりで作りましょう
短い寸劇・ドラマのパロディ
その年に話題になったドラマやCMの型を借りて、職場あるあるに置き換える形です。
- 良いところ … 型が決まっているので、ゼロから台本を考えるより楽
- 気をつけたいこと … 元ネタを知らない人には伝わりません。**元ネタを知らなくても分かる「あるある」**の部分で笑いが取れるように作るのがコツです
全員でそろえるダンス
定番ですが、根強く選ばれています。
- 良いところ … 完成度が多少低くても、一生懸命さが伝わると会場は温かくなる
- 気をつけたいこと … 全員の練習時間を合わせるのが、いちばん大変です。お店の個室では踊るスペースがないこともあるので、会場を確認してから決めましょう
1人、もしくは2人の場合
人数が少ないと、ダンスや寸劇は成立しにくくなります。そのかわり、1人でも完結するものを選べば、準備はむしろ身軽です。
自分の「特技」を3分だけ見せる
けん玉、早口言葉、学生時代の部活の技など、すでにできることがあれば、それがいちばん強いです。新しく覚えるより確実で、自己紹介にもなります。
会場参加型のゲームの進行役
じゃんけん大会、ビンゴの読み上げなど、進行を担当する形です。自分が何かを披露するわけではないので、人前に立つのが苦手な方にも向いています。
マジックを1つだけ披露する
意外に思われるかもしれませんが、1人の出し物としてよく選ばれるのがマジックです。理由は次の項目で書きます。
「マジックを1つだけ」が新人の出し物に向いている理由
1人で完結し、会場を選ばない
トランプや輪ゴムのように小さな道具で演じられるものなら、マイクも舞台もいりません。宴会場でも、お店の個室でも、手元だけで成立します。
観ている人を巻き込める
「カードを1枚選んでください」と役員の方にお願いするだけで、その方が出し物の一部になります。新人が上の立場の方と自然に話すきっかけになるのも、マジックならではです。
短くて済む
マジックは1つあたり数分で終わります。持ち時間5分なら、1つを丁寧に演じるだけで十分です。
ただし、覚え方を間違えると逆効果です
いまはYouTubeを見れば、かなりのマジックの手順が手に入ります。それでも「動画のとおりにやったのにバレた」というお話をよく伺います。手順を知ることと、人前で成立させることは、別の技術だからです。手の角度、視線の置き方、セリフ、間の取り方。ここが揃っていないと、同じ手順でも見え方がまるで変わります。
特に忘年会の場合、確認しておきたいのは次の点です。
- お客様との距離 … 宴会場で遠くから見られるのか、テーブルの目の前で見られるのか。近い距離では成立しない方法もあります
- 角度 … 横や後ろからも見られる会場では、正面からしか成立しないマジックは避ける必要があります
- お酒の席であること … 途中で話しかけられたり、道具に触られたりしても崩れない演目を選ぶほうが安全です
初めての方の場合、私は「いちばん格好いい方法」ではなく、**「その会場の、その距離で、確実に成功する方法」**を選ぶようにしています。
準備のスケジュール例
12月中旬の忘年会を想定した、無理のない進め方です。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 10月〜11月上旬 | 会場・持ち時間・去年の例を確認し、出し物を決める |
| 11月中旬 | ネタを固め、ひと通り通してみる |
| 11月下旬〜12月上旬 | 同期や家族の前で一度見せ、反応を見て直す |
| 本番1週間前 | 道具・音源・小道具をそろえ、本番と同じ流れで通す |
| 当日 | 会場に早めに入り、立ち位置と見え方を確認する |
**「誰かの前で一度やってみる」**を、必ずスケジュールに入れてください。1人で鏡の前で練習するのと、人に見られながら演じるのとでは、緊張の仕方がまったく違います。ここを一度通っておくだけで、本番の失敗はかなり減ります。
マジックを習う場合の費用
独学で不安な方向けに、ご希望のマジックを対面でお教えするマジックレッスンをご用意しています。1〜3名まで一緒に受けていただけるので、同期と2〜3人で同じ場面を練習することもできます。
| コース | 時間 | 参考価格(1名) | 2名 | 3名 |
|---|---|---|---|---|
| 60分 | 60分 | 8,000円〜 | 12,000円〜 | 16,000円〜 |
| 90分 | 90分 | 12,000円〜 | 18,000円〜 | 24,000円〜 |
| 120分 | 120分 | 15,000円〜 | 22,500円〜 | 30,000円〜 |
- 教材費は、ご予算とご希望のマジックによって変わります。演目によっては専用の道具が必要になり、その道具代がかかります。金額は事前にお伝えします
- 交通費は実費を頂戴します
- レンタルスペース等を利用する場合は、会場費を別途ご負担いただきます
忘年会のように本番の日付が決まっている方には、120分のコースをおすすめしています。前半で演目を覚え、中盤でセリフ・立ち位置・視線・間を本番の場面に合わせて組み、後半は私が観客役になって、本番と同じ流れで通し稽古をします。
ご相談の際は、会場(宴会場かお店か)・観る人数・持ち時間の3つを教えていただけると、それに合った演目を選べます。
「出し物」ではなく「余興」をまるごと任されたら
なかには、新人の出し物ではなく、忘年会の余興全体の手配を任されたという方もいると思います。その場合は、外部のパフォーマーを呼ぶという選択肢もあります。余興の比べ方や費用の目安は忘年会・新年会の余興は何を呼ぶ?に、部署単位の小さな忘年会については少人数の忘年会の出し物アイデアにまとめています。
まとめ
新人の出し物で求められているのは、完成度の高さより、**「一生懸命やってくれた」「話しかけるきっかけができた」**という空気です。会場と持ち時間を先に確認し、無理なく準備できるものを選び、本番前に一度だけ人前で通しておく。これだけで、ほとんどの失敗は避けられます。
それでも人前に立つのが怖い、という方へ。マジシャンが言うのもなんですが、**手が震えていても、タネがしっかりしていればマジックは成立します。**震えているのに不思議なことが起きると、かえって会場が味方になってくれることもあります。
